『ザ・キング・オブ・ファイターズXII』は、2009年7月30日にPlayStation 3およびXbox 360向けに発売された2D対戦格闘ゲームで、KOFシリーズの本編第12作目です。開発・発売はSNKプレイモア。シリーズ15周年記念作品として制作され、「KOF RE-BIRTH(再誕)」を掲げ、グラフィックやシステムを一新した意欲作です。
最大の特徴は、全キャラクターのドット絵をHDで完全新規描き下ろしした点です。従来のNEOGEO時代のドットを一新し、3Dモデルをベースにした高精細な2Dアニメーションを採用。背景も3D化され、ズームイン・アウト演出や光源処理など、視覚的な進化が大きな話題となりました。
ゲームシステムは、前作『KOF2003』『XI』で導入された「マルチシフト制(リアルタイム交代)」を廃止し、従来の3on3ラウンド制に回帰。さらに、以下の新システムが導入されました:
クリティカルカウンター:特定条件下で発動し、自由な連続攻撃が可能になる逆転要素
ガードアタック:相手の攻撃を受け止めて反撃する当て身技
相殺:強攻撃や必殺技がぶつかると互いに打ち消し合う演出
登場キャラクターはアーケード版で20名、家庭用版では追加キャラとしてエリザベート・ブラントルシュとマチュアが参戦し、全22名が使用可能。シリーズとしては少なめの人数で、固定チーム編成も廃止され、自由なチーム構成が可能です。
一方で、ストーリーモードやボスキャラ、エンディング演出などが存在せず、ドリームマッチ形式ながらも演出面の簡素さや技の少なさ、キャラバランスの偏りなどが指摘されました。特に、グラフィックに注力した反面、ゲーム内容のボリューム不足が批判を集め、シリーズの中でも評価が分かれる作品となっています。
それでも、シリーズ初のHDドット絵作品としての意義は大きく、後の『KOF XIII』へとつながる技術的基盤を築いた作品でもあります。
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