『ケイン&リンチ: デッドメン』は、裏切りと狂気を抱えた二人の死刑囚が運命に抗いながら凄惨な復讐劇を繰り広げるクライム・アクションシューティングです。2008年7月10日にスパイクからPlayStation 3およびXbox 360で発売されました。
物語の主人公は、かつて傭兵組織「The 7」に所属していたケインと、精神に異常をきたした妻殺しの囚人リンチです。死刑執行の直前、護送車を襲撃した「The 7」によって救出された二人でしたが、それは救済ではありませんでした。組織を裏切り逃亡したケインに対し、組織は彼の妻子を人質に取り、奪った大金を取り戻すよう脅迫します。リンチは、ケインが逃げ出さないための監視役として同行を命じられ、二人の血塗られた旅が始まります。
ゲームシステムは、物陰に身を隠して戦うカバーアクションを軸としたサードパーソン・シューティング(TPS)です。プレイヤーは主にケインを操作し、随行するリンチや最大4人の仲間に対して「前進」「集合」「防衛」といった簡易的な指示を出しながら、分隊によるタクティカルな戦闘を展開します。自動的に遮蔽物へ張り付くカバーシステムや、ラペリングによる潜入アクションなど、状況に応じた多彩なアクションが用意されています。
演出面では、映画『ヒート』や『コラテラル』といったクライム・アクション映画を彷彿とさせる、徹底してドライで重厚な世界観が構築されています。物語はニューヨークから始まり、後半には東京のナイトクラブを舞台にした激しい銃撃戦や、南米での大規模なゲリラ戦など、ハリウッド映画さながらのスケールで展開されます。日本語版では、内田直哉氏や麦人氏といった実力派声優によるフルボイスの吹き替えが行われ、シネマティックな物語をより深く体験できるようになっています。
協力プレイ(Co-op)では、一人がケイン、もう一人がリンチを操作して全編をプレイ可能です。特筆すべきはリンチ視点の演出で、精神に異常をきたしている彼を操作するプレイヤーには、周囲の市民が動物の頭をした怪物に見えたり、無関係な話し声が幻聴として聞こえたりといった、ケイン側では発生しない独自の幻覚演出が発生します。この狂気に満ちた主観的な演出が、プレイヤー同士の連携に予期せぬ緊張感をもたらします。
『ケイン&リンチ: デッドメン』は、『ヒットマン』シリーズで知られるIO Interactiveが開発した完全オリジナルのタイトルです。犯罪者同士の不信感や裏切りをテーマにしたマルチプレイモード「Fragile Alliance」など、アンチヒーローを主役に据えた独自のゲームデザインが世界的に高い評価を受けました。












コメントを追加