『ヘイズ』は、特殊な強化薬によって感覚を研ぎ澄まされた兵士の視点から戦場の狂気を描く一人称視点シューティングです。2008年5月22日にスパイクからPlayStation 3で発売され、強力な軍事力を背景にした独占タイトルとして注目を集めました。
物語の舞台は、多国籍企業「マンテル・グローバル・インダストリーズ」が私設軍隊を用いて世界の紛争を鎮圧している近未来です。新兵のシェーン・カーペンターとして戦場に赴くプレイヤーは、マンテル社が開発した戦闘用強化薬「ネクター」を投与されることで、超人的な能力を発揮します。しかし、当初は正義の戦いと信じていた任務の裏側にある、薬物による情報の隠蔽と残虐な実態を目の当たりにしたことで、物語は大きく動き出します。
最大の特徴は、この「ネクター」を駆使した独自のゲームシステムにあります。ネクターを投与すると、画面が明るく鮮明になり、敵の姿が強調表示されるほか、射撃の精度や移動速度が劇的に向上します。さらに、敵の攻撃を事前に察知する「ハザード・センシング」など、戦場を支配する感覚を味わえます。ただし、過剰に摂取すると「ネクター・オーバードーズ」を引き起こし、周囲の味方までも敵と認識して銃乱射してしまう狂乱状態に陥るリスクを孕んでいます。
物語の中盤からは、薬物の支配から脱却した反乱軍側の視点でも戦うことになります。ハイテク装備と薬物で武装したマンテル軍に対し、反乱軍は「ネクター」を使用できませんが、死んだふりをして敵をやり過ごしたり、敵のネクター投与装置を破壊して暴走させたりといった、ゲリラ戦特有の知略的なアクションが求められます。この二つの対照的な勢力によるプレイスタイルの変化が、戦場の表と裏を浮き彫りにします。
マルチプレイ機能も充実しており、オンラインでは最大16人による対戦が可能です。さらに、最大4人での協力プレイ(Co-op)にも対応しており、画面分割によるローカル協力プレイも楽しめる仕様となっています。兵士たちの高揚感と絶望を視覚的に表現した独自の演出により、単なる戦闘アクションに留まらない、戦争の本質を問う重厚な作品に仕上げられています。
『ヘイズ』は、『タイムスプリッター』シリーズなどで知られるFree Radical Designが開発した完全オリジナルのFPS作品です。当時の次世代機であったPlayStation 3の性能を活かし、薬物による視覚効果の変容をシームレスに表現した意欲的な試みが行われました。













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