『ダンジョン・マスター ネクサス』は、1998年3月26日にビクターインタラクティブソフトウエアから発売されたセガサターン用の3DダンジョンRPGで、FTL Gamesの名作『ダンジョン・マスター』シリーズの流れを汲む完全新作です。従来の擬似3D表現から一転し、シリーズ初のフルポリゴンによるリアルタイム3D描写を採用しており、セガサターンの性能を活かしたグラフィックと演出が特徴です。プレイヤーは4人パーティを編成し、迷宮「ネクサス」の最深部を目指して探索を進めます。戦闘や移動はリアルタイムで進行し、武器の構えや魔法の詠唱、アイテムの使用などを状況に応じて即座に判断する必要があります。

ゲームシステムはシリーズ伝統の「行動による熟練度上昇」方式を踏襲しており、武器を振れば戦士スキル、魔法を使えばメイジスキルが上昇するなど、行動がそのまま成長に直結します。また、召喚魔法によってモンスターを使役できる「サマナー」的要素も導入されており、戦術の幅が広がっています。ダンジョンは全15階層で構成され、階層が深くなるほど獲得経験値が増加する設計となっており、後半の育成効率は非常に高くなります。敵の耐久力が高く、戦闘は長期戦になりがちですが、魔法や装備の工夫によって攻略の自由度が確保されています。

一方で、操作系やUIの複雑さ、視点操作の不便さ、攻撃モーションの硬直など、インターフェース面での不満点も多く、シリーズファンからは賛否が分かれました。また、武器の攻撃方法が自由に選べない、敵の硬さによるテンポの悪さなど、ゲームバランス面でも課題が指摘されています。とはいえ、シリーズ最後の完全新作として、3D化による新たな表現や、重厚なダンジョン探索の雰囲気は一定の評価を受けており、現在ではセガサターン専用タイトルとしてコレクターズアイテム的な価値も持っています。