『坂本竜馬・維新開国』は、プレイステーションおよびセガサターン向けに発売された歴史シミュレーションゲームである。幕末の動乱期を舞台に、プレイヤーは坂本竜馬をはじめとする志士たちの一人となり、日本全国の藩を説得しながら政権と軍権の掌握を目指す。史実に登場する人物たちとの思想的な駆け引きが中心となる構成で、単なる戦略ゲームとは異なる政治的・心理的な要素が強く打ち出されている。
ゲームの進行は、対象人物との「説得」を軸に展開される。プレイヤーは、褒める・脅す・義に訴えるなどの手段を用いて、相手の思想を変化させていく。説得の成否は時間帯や相手のバイオリズムに左右されるため、交渉のタイミングが重要となる。思想が変化すると、その人物が所属する藩の家老や大名にも影響を及ぼし、藩全体の政権・軍権を掌握することが可能となる。
登場人物の思想は、交渉を重ねることで極端な方向へと変化していく。たとえば、幕府維持派の人物が封建主義に傾倒するなど、史実とは異なる思想展開が起こることもある。こうした思想の変化は、ゲーム内での風刺的な演出として機能しており、プレイヤーの選択によって歴史の流れが大胆に改変される。
エンディングは、日本全国の藩と幕府の政権・軍権を掌握することで迎える。プレイヤーが選ぶ主人公の身分によって交渉の難易度が変化し、低い身分の志士は家来から順に説得を重ねていく必要がある。これにより、攻略の順序や戦略がプレイヤーごとに異なる展開を生む。
プレイステーション版とセガサターン版は、基本的な内容に大きな差異はないが、操作性や読み込み速度などに若干の違いがあるとされる。いずれも国内向けに展開されたタイトルであり、他機種への移植は確認されていない。
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