『センチメンタルグラフティ』は、1998年にセガサターン向けに発売された恋愛アドベンチャーゲームである。プレイヤーは高校3年生の主人公として、差出人不明の手紙をきっかけに、かつて転校先で出会った12人の少女たちのもとを訪ね歩く旅に出る。目的は、手紙の送り主を突き止めること。物語は「あなたに……会いたい」という一文から始まり、主人公が過去の記憶と向き合いながら、全国を巡る一年間の青春が描かれる。

ゲームは時間・お金・行動力という3つのリソースを管理しながら進行する。移動手段は飛行機や電車など8種類が用意されており、所要時間や料金が細かく設定されている。行動力は移動やアルバイトで消費され、宿泊施設の選択によって回復量が変化する。こうしたシステムにより、プレイヤーは限られた資源の中で効率的にヒロインたちと再会し、関係を深めていく必要がある。

登場する12人のヒロインは全国各地に散らばっており、互いに面識はない。再会時には過去の思い出が語られるが、主人公がそれを忘れているという設定も含まれている。エンディングは、ヒロインから告白されるベストエンド、主人公からの告白が成功するグッドエンド、告白が失敗するバッドエンドの3種類が存在する。最終的に、手紙の送り主はベストエンドを迎えたヒロインであることが明かされる。

本作は発売前から大規模なプロモーションが展開され、関連グッズやドラマCD、小説、ラジオ番組など多方面にメディア展開された。特にキャラクターデザインには『同窓会』で知られる水谷とおる氏(甲斐智久名義)が起用されたが、実際のゲームには彼のイラストが使用されていないという事実が話題となった。

発売後は、過度な期待と実際の内容との乖離が指摘され、ギャルゲー市場全体に影響を与えた作品としても知られている。こうした背景から、『センチメンタルグラフティ』はギャルゲームブームの象徴的な転機となったタイトルである。