『桃太郎道中記』は、1997年にセガサターン専用ソフトとしてハドソンから発売されたボードゲームです。桃太郎電鉄シリーズに近いシステムを採用しながらも、舞台を江戸時代に移し、独自の世界観と用語で彩られた作品です。キャラクターデザインは土居孝幸、音楽はゴダイゴのタケカワユキヒデが担当し、演出面でも強い個性を放っています。

プレイヤーはサイコロを振って日本各地を巡り、物件を購入して資産を増やしていきます。移動手段は徒歩や帆船、大凧など江戸時代風にアレンジされ、銀河鉄道に相当する「天の川」も登場します。物件駅では虫眼鏡を使って地名の由来や歴史を閲覧できるなど、教育的な要素も盛り込まれています。イベントは田植え競争や稲刈り競争など、時代背景に合わせた内容に変更され、季節の演出も加わることで臨場感が高まります。

対戦相手には桃太郎や金太郎、浦島太郎などのキャラクターが登場し、従来のシリーズでは選択できなかったキャラとの対戦が可能です。COMキャラのアルゴリズムも一新され、戦略性が増しています。江戸っ子モードではゲーム開始時から高額の収支が発生し、15年目・30年目・60年目の状態からスタートすることができます。

セガサターン版はCD-ROMメディアを活かし、音声やアニメーション演出が豊富に盛り込まれています。グラフィックは当時の水準ながら、キャラクターの服装や地名の表現が江戸時代風に統一され、世界観の没入感を高めています。操作性は安定しており、イベントの多さと演出の工夫により、長時間のプレイでも飽きが来ない構成となっています。