『デジタルピンボール ラストグラディエーターズ Ver.9.7』は、1997年にセガサターン向けに発売されたピンボールシミュレーションゲームであり、1995年発売の初代『ラストグラディエーターズ』の改訂版として構成されています。本作は、ボール挙動の修正やバグの改善を中心に、物理演算の精度向上と演出強化が施されたバージョンアップ作品です。開発・発売はKAZeが担当しており、リアル志向のピンボール体験を家庭用機で再現することを目的とした設計が採用されています。

収録されている台は「GLADIATORS」「KNIGHT OF THE ROSES」「DRAGON SHOWDOWN」「WARLOCK」の4種類で、それぞれ異なる時代や神話をモチーフにした構成となっています。各台には独自のギミック、ラウンド開始条件、ジャックポット獲得条件が設定されており、プレイヤーはボールを特定のターゲットに導くことで高得点を狙う形式です。Ver.9.7では、スコア上限の拡張やマルチボール挙動の安定化が図られており、上級者向けのプレイにも対応した構造です。

操作系はセガサターンのパッドに最適化されており、左右フリッパー、プランジャー、台揺らしなどの基本操作が割り当てられています。台揺らしは過度に行うと「ティルト」が発生し、フリッパーが無効化される仕様です。画面表示はインターレースモードによる高解像度描画が採用されており、台の装飾やランプレーンの視認性が向上しています。また、ゲーム内マニュアルによって各台のルールやギミックが詳細に解説されており、初心者でも理解しやすい設計が施されています。

音楽面では、Doug Aldrichと高濱祐輔がBGMを担当しており、ロック調の楽曲がゲームの演出と高い親和性を持っています。特にラウンド開始時やジャックポット獲得時の演出は派手で、プレイ中の没入感を高める要素として機能しています。Ver.9.7はコンビニ専売で流通量が限られていたため、現在ではプレミア価格で取引される傾向が強く、セガサターン後期の隠れた名作として評価されています。