『薄桜鬼 黎明録』は、2010年10月28日にアイディアファクトリー(オトメイト)よりPlayStation 2用ソフトとして発売され、後にPSPやPlayStation 3、PlayStation Vita、Nintendo Switchへと移植・リメイクされた幕末ドラマティックアドベンチャーゲームであり、人気作『薄桜鬼』本編へと至る前日譚を描いた作品です。本作の主人公は女性の雪村千鶴ではなく、行き倒れていたところを芹沢鴨に拾われた青年「井吹龍之介」が務め、彼の視点から新選組誕生の秘話が語られます。

物語の舞台は、新選組という名が世に轟く以前、彼らがまだ「浪士組」として京に上って間もない時期です。近藤勇、土方歳三、沖田総司といったおなじみの隊士たちが、いかにして鬼の副長や一番組組長といった立場を確立していったのか、そして彼らが掲げる「誠」の旗に込められた覚悟の原点が、男たちの群像劇として熱く描写されています。

本作では、隊士たちとの交流だけでなく、新選組初代筆頭局長でありながら歴史の闇に葬られた「芹沢鴨」という人物に焦点が当てられています。傲慢で乱暴ながらも、隊士たちに多大な影響を与えた彼の生き様や、彼を取り巻く人間関係の摩擦が、主人公である龍之介の目を通して鮮烈に映し出されます。

プレイヤーの行動によって、隊士たちとの友好度や物語の結末が変化する仕組みが採用されています。後に『薄桜鬼』本編で描かれる悲劇や絆がいかにして生まれたのか、その起源を知ることでシリーズの世界観をより深く理解できる内容となっています。

本作は、2008年に発売された女性向け恋愛アドベンチャーゲーム『薄桜鬼 〜新選組奇譚〜』の前日譚(プリクエル)として制作されたオリジナル作品です。本編では語りきれなかった新選組結成時のエピソードや、芹沢鴨という重要人物の最期を掘り下げ、本編への導入となる物語として再構成されたタイトルです。

薄桜鬼