『花と乙女に祝福を〜春風の贈り物〜』は、病弱な妹の身代わりとして名門お嬢様学校に通うことになった少年の奮闘を描く女装学園アドベンチャーゲーム。2010年07月08日にアルケミストからPS2で発売されました。その翌年、2011年10月27年には、携帯機への移植版となる『花と乙女に祝福を〜春風の贈り物〜 portable』がBOOST ONからPSPで発売されています。本作は、PCゲームブランドensemble(アンサンブル)のデビュー作にして出世作となった『花と乙女に祝福を』のコンシューマー版です。主人公・月丘彰は、留年寸前の双子の妹・晶子を救うため、彼女になりすまして「聖ルピナス学園」へ潜入します。完璧な女装と持ち前の器用さで「理想的なお嬢様」を演じるはずが、学園のカリスマである生徒会長に見初められ、園芸部に入部することになるなど、予想外の学園生活が幕を開けます。

ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んでいくオーソドックスなアドベンチャー形式です。プレイヤーは正体がバレないように振る舞いつつ、園芸部での活動や学校行事を通じてヒロインたちと交流を深めます。コンシューマー版(PS2/PSP)独自の追加要素として、PC版ではサブキャラクターだった侍娘「獅堂沙織」と、真面目で友達思いな「朝霧七緒」の2名が攻略可能な新ヒロインとして昇格しました。それに伴い、大幅なシナリオ加筆とイベントCGの追加が行われており、原作ファンも新鮮な気持ちで楽しめるボリュームアップが施されています。また、PC版のファンディスクに収録されていた妹・晶子のアフターストーリー「兄さんは私の下僕?」も収録され、物語の裏側やその後を補完しています。

本作の独自性は、主人公・彰の圧倒的なハイスペックさと、それによって築かれる心地よい人間関係にあります。彼は単に女装が似合うだけでなく、料理や裁縫といった家事全般をプロ並みにこなし、細やかな気配りもできる「完璧超人」です。そのため、守られるだけのヒロインではなく、周囲の女子生徒たちから頼られ、憧れられる存在として描かれます。「女装もの」というジャンルでありながら、ドロドロした展開は少なく、美しい花々に囲まれた温室で繰り広げられる穏やかで優しい日常と、少しのスリルが同居する清涼感あふれる作品となっています。

原作ブランドensembleは、本作以降も「女装主人公」をテーマにした「乙女シリーズ」を数多く世に送り出しました。本作はその原点であり、ジャンルの金字塔の一つとして愛されています。女装して女子校に通うというシチュエーションの面白さや、性別を超えた絆の物語に興味を持った方は、同ジャンルの先駆的名作である『乙女はお姉さまに恋してる』の関連書籍などを読むことで、この独自のジャンルが持つ奥深さをより深く理解することができます。

乙女はお姉さまに恋してる (関連書籍)

駿河屋あんしん&らくらく買取