『ef – a fairy tale of the two.』は、震災からの復興を遂げた街「音羽」を舞台に、若者たちの群像劇を描いたインタラクティブ・ノベル。2010年04月29日にCOMFORTからPlayStation 2で発売されました。本作は、PCゲームブランドminoriから発売された前編『ef – the first tale.』と後編『ef – the latter tale.』の2作品を一本に統合したコンシューマー移植版です。とあるクリスマスの夜、教会で再会した男女が過去を語り合う形式で物語は幕を開け、それぞれ異なる季節、異なる視点で描かれる複数の恋愛模様が、やがて一つの大きな真実へと収束していく壮大な構成となっています。

ゲームプレイは、画面上のテキストを読み進めるノベル形式を採用していますが、一般的なアドベンチャーゲームとは演出手法が根本的に異なります。キャラクターの立ち絵を単に表示するのではなく、映画のようにカメラアングルを切り替えたり、キャラクターの視線や距離感を画面構成で表現したりする「スクリプト演出」が徹底されています。選択肢は極端に少なく、プレイヤーが物語に介入する余地は限定的ですが、その分、計算し尽くされた映像と音楽の洪水を浴びるように鑑賞する、受動的かつ没入感の高い体験を提供します。

本作の最大の特徴は、新海誠氏が手掛けたオープニングムービーや、天門氏による叙情的な背景音楽など、クリエイターの個性が際立つ視聴覚演出です。特に、背景美術の美しさは特筆すべきものであり、光と影のコントラストや、空の色彩の変化が、登場人物たちの揺れ動く心情を雄弁に語ります。「物語を、見せよう。」というキャッチコピーの通り、読むというよりは「観る」感覚に近い、映像作品としての完成度を追求したデジタルノベルの到達点の一つと言えます。

本作の原作を手掛けたminoriは、「中二病」という言葉がない時代から、独特の詩的なテキストと徹底した映像美で多くのファンを魅了したブランドです(2019年に解散)。オープニングを手掛けた新海誠氏は、後に『君の名は。』などで世界的なアニメーション監督となりますが、本作は氏の作家性が凝縮された初期の傑作としても知られています。その映像美の原点や、天門氏の音楽が持つ透明感に惹かれた方は、新海誠監督の初期作品集などを観ることで、本作に通じるセンチメンタルな空気感をより深く味わうことができます。

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