『Under The Moon 〜クレセント〜』は、魔界を追われた吸血鬼の姫君が、人間界で運命の相手と巡り合うゴシック・ロマンス・アドベンチャーゲーム。オリジナル版は2006年にsugarbeansからPC向けに発売され、その翌年、2007年06月28日に新キャラクターや追加シナリオを収録した家庭用移植版として、ディンプルからPlayStation 2で発売されました。物語の主人公アーシェは、魔王の娘でありながら魔力を持たない「魔界の恥さらし」として生きてきましたが、次期魔王候補によるクーデターに巻き込まれ、命からがら人間界の森へと逃げ延びます。そこで彼女を助けたのは、かつて魔界で仕えてくれていた双子の兄弟、レニとセイジュでした。見知らぬ世界での潜伏生活の中で、彼女は自身の秘められた力と、愛憎渦巻く運命に対峙することになります。

ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んでいくオーソドックスなアドベンチャー形式ですが、物語の分岐には「Love(純愛)」と「Desire(欲望)」という相反する2つのパラメータが深く関わります。プレイヤーの選択によって主人公の性格や彼との関係性が変化し、甘く穏やかな結末から、執着や狂気に満ちたバッドエンドまで多様な展開を見せます。PS2版である本作独自の要素として、PC版ではサブキャラクターだった謎の青年「ユナン」が攻略対象として昇格し、彼専用のシナリオとエンディングが新たに追加されました。また、既存のルートにも加筆修正が施され、PC版をプレイ済みのファンでも新鮮な気持ちで彼らとの恋を楽しめるよう調整されています。

本作の最大の特徴は、イラストレーター・東亜(とあ)氏が手掛ける、絵本のように幻想的で可愛らしいビジュアルと、その見た目に反した重厚かつ倒錯的なシナリオのギャップにあります。登場する男性キャラクターたちは一癖も二癖もあり、主人公に対する過剰な独占欲やサディスティックな一面を覗かせることがあります。美しいゴシック調の世界観の中で繰り広げられる、痛みと快楽が隣り合わせにあるような濃密な恋愛劇は、プレイヤーに鮮烈なインパクトを与えます。

本作の原画を担当した東亜(Toa)氏は、その独特の繊細なタッチと色彩感覚で多くのファンを持つイラストレーターです。本作の退廃的でありながらメルヘンチックな世界観に惹かれた方は、氏の画集を手に取ることで、レースやフリルの細部に至るまで描き込まれた美麗なアートワークをより深く堪能することができます。
Under The Moon 東亜画集

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