『バロック(BAROQUE)』は、2007年6月28日にスティングより発売されたPlayStation 2用の3DアクションRPGです。1998年にセガサターンで登場した同名タイトルのリメイクにあたり、視点を一人称から三人称に変更し、グラフィックや演出、シナリオ構成を大幅に再構築。終末世界を舞台にした退廃的な世界観と、死を繰り返すことで物語が進行する独特のゲーム構造が特徴です。
プレイヤーは記憶を失った主人公となり、歪んだ世界を浄化するため「神経塔」と呼ばれるダンジョンに挑みます。塔は入るたびに構造が変化するランダム生成型で、死ぬことで新たなイベントが発生し、世界の真実が少しずつ明らかになるという、いわば“死にゲー”の先駆け的な構造を持っています。
戦闘はリアルタイム制で、武器や防具、アイテムの効果はランダムに変化する「マジックエフェクトシステム」を採用。さらに、回復手段が「心臓」や「肉」などグロテスクなアイテムに限定されており、不気味で不親切なゲームデザインがプレイヤーの不安感を煽る作りになっています。
また、登場人物はすべて何らかの“歪み(バロック)”を抱えており、彼らとの会話や行動によって物語が進行。「死=ゲームオーバーではない」という設計のもと、繰り返しの中でプレイヤー自身が世界の構造を読み解いていく、極めて実験的かつ哲学的な作品です。
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