『We Are*』は、超能力を持つ少女たちと、彼女らを取り巻く過酷な運命を描くSF恋愛アドベンチャーゲーム。2006年07月27日にKIDからPS2で発売されました。タイトルの「*(アスタリスク)」は発音せず、読み方は「ウィーアー」となります。物語の舞台は西暦2026年の日本。第二次世界大戦中に使用された核兵器の影響で、人類の中に「ESP」と呼ばれる超能力者が誕生し始めた世界です。主人公の高校生・綾瀬優弥は、一学期の終業式に投身自殺を図ろうとしたクラスメイト・朝霞天(あさか てん)を助けますが、彼女は軍事利用されるESP兵器のテスト生として徴兵される運命にありました。

ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んで物語を分岐させるオーソドックスなアドベンチャー形式です。KID作品特有の快適なシステムを搭載しており、メッセージスキップやオートモード、既読シーンの確認などがスムーズに行えます。物語は夏休み期間を中心に進行し、主人公はヒロインたちと交流しながら、彼女たちが抱える「能力者ゆえの苦悩」や、迫りくる軍の影と向き合います。選択肢によって好感度が変化し、特定のヒロインとのエンディングを迎えるシンプルな構成ですが、クリア後にはシーン回想機能などが解放され、物語を振り返ることが可能です。

本作の特徴は、稲垣みいこ氏が手掛ける柔らかく可愛らしいキャラクターデザインと、それとは対照的な「戦時下の日常」というシリアスな世界観です。東京が攻撃を受けて首都が前橋に移転しているという設定や、超能力者が兵器として扱われる差別的な社会背景がありながらも、描かれるのはプールや花火といった「最後の夏休み」を楽しむ若者たちの姿です。抗えない運命の中で、ささやかな日常を守ろうとする主人公とヒロインの絆が、切なくも温かく描かれています。

本作は、恋愛アドベンチャーゲームの老舗であったKIDが倒産する直前に発売された後期作品の一つです。キャラクターデザインの稲垣みいこ氏は、PCゲームやライトノベルの挿絵などで活躍するイラストレーターであり、その繊細なタッチは本作の儚い世界観を象徴しています。KID作品全般に共通する「隠された真実」やSF的なガジェットに興味を持った方は、同社の代表作である『Ever17』などをプレイすることで、その作家性の系譜を辿ることができます。

Ever17 -the out of infinity-

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