『イースIV MASK OF THE SUN -a new theory-』は、2005年5月26日にタイトーから発売されたPlayStation 2用のアクションRPGで、1993年にスーパーファミコン向けにリリースされた『イースIV MASK OF THE SUN』をベースに、日本ファルコムの原案に基づいて再構築されたリメイク作品です。開発はナウプロダクションが担当し、グラフィックや演出、システム面が大幅に刷新され、シリーズの中でも異色の存在として知られています。
物語は『イースII』の直後、アドル・クリスティンがエステリアを離れた後に届いた「セルセタを救ってほしい」という謎の手紙をきっかけに始まります。舞台は古代文明の遺産が眠る「セルセタの樹海」。アドルは記憶を失った状態で目覚め、現地の少女リーザや、ロムン帝国の騎士たちと出会いながら、失われた記憶と世界の真実に迫っていきます。
戦闘は3Dフィールド上で展開されるリアルタイムアクションで、攻撃・回避・魔法を駆使して戦うスタイルに変更。従来の「半キャラずらし」戦法は廃され、より直感的な操作感が重視されています。また、武器に応じて異なる魔法が使用可能で、魔法の強化や属性の切り替えといった要素も導入されています。さらに、イベントシーンはフルボイスで展開され、アニメーションムービーやカットイン演出も多数収録。アドルが積極的に喋る点も、シリーズとしては珍しい特徴です。
一方で、原作の持つテンポ感やシンプルなゲーム性が失われたこと、操作性やカメラワークの不備、戦闘バランスの粗さなどが指摘され、評価は賛否が分かれました。とはいえ、シリーズの歴史を語る上では欠かせない一本であり、後の『イース セルセタの樹海』へと繋がる布石ともなった作品です。
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