『家族計画 〜心の絆〜』は、孤独を抱えた赤の他人たちが一つ屋根の下で「疑似家族」を形成し、失われた絆を取り戻していく過程を繊細に描くハートフルアドベンチャー。2005年2月24日にインターチャネルからPlayStation 2で発売され、PC向けに絶大な支持を得た名作シナリオをベースに、家庭用独自の新規要素やフルボイス化が施されました。

物語の主人公・沢村司は、天涯孤独の身となった青年です。ある日、彼は家を追われたり、行き場を失ったりした個性豊かな人々を助け、成り行きから彼らと共に共同生活を送ることになります。住む場所を守るため、そして各々が抱える孤独を埋めるため、彼らは「高屋敷家」という屋号を掲げ、書類上だけの「家族」としての日々をスタートさせます。

本作の最大の魅力は、人気シナリオライターの田中ロミオ氏が手掛けた重厚かつ情緒豊かなテキストにあります。最初は反発し合っていた偽物の家族たちが、日々の食事や喧嘩、そして降りかかる困難を乗り越える中で、本物の家族以上の絆を育んでいく姿が描かれます。笑いを誘うコミカルな日常描写の裏側で、現代社会が抱える孤独や疎外感といったテーマが鋭く、そして温かく突きつけられます。

ゲームシステムは、テキストを読み進めながら選択肢によって物語を分岐させるアドベンチャー形式を採用しています。PlayStation 2版への移植に際しては、全編にわたるフルボイス化が行われ、実力派声優陣による演技がキャラクターの魅力をより一層引き立てています。また、家庭用オリジナルのイベントグラフィックも多数追加されており、名場面をより情緒的な演出と共に堪能することが可能です。

物語が進むにつれて明らかになる各キャラクターの壮絶な過去や、疑似家族という危うい関係が直面する現実の厳しさは、プレイヤーに「家族とは何か」という普遍的な問いを投げかけます。2010年にはPlayStation Portableへの移植も行われるなど、時代を超えて多くのプレイヤーに愛され、涙と感動を与え続けている恋愛・人間ドラマの金字塔といえる一作です。

『家族計画 〜心の絆〜』は、美少女ゲームブランド「D.O.(ディーオー)」が2001年に発表したPCソフト『家族計画』を原作としています。「疑似家族」という設定を通じて人間の孤独と再生を描き切った本作は、当時のアドベンチャーゲーム界において非常に高い評価を獲得しました。

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