『HARD LUCK』は、大火災に見舞われた巨大高層ビルを舞台に、迫り来る崩壊のタイムリミットと戦いながら人命救助に奔走する人命救助アクションアドベンチャー。2004年10月28日にスパイクからPlayStation 2で発売された。

物語の舞台は、火災が発生し崩壊の危機に瀕した超高層ビル「クレイトン・タワー」。プレイヤーはビルが完全に崩落するまでの「5時間」という制限時間内に、一人でも多くの被災者を救出し、ビルからの脱出を目指す。ゲームはエピソード形式で進行し、プレイヤーの行動や救助状況によって物語が分岐していく。

操作可能な主人公は、能力の異なる3人のプロフェッショナルから選択する。炎の扱いに長けた消防士のマット、身体能力が高く迅速な救助が可能な警察官のジェイソン、そしてビルの構造を熟知し隠された通路を見抜く設計士のデビッド。それぞれの専門知識やスキルを駆使して、通行不能となったルートの確保や生存者の探索といった困難な状況を打破していく。

アクションの主軸となるのは、行く手を阻む「炎」との戦いである。放水や消火器を用いた消火活動が一般的な戦闘要素に相当し、状況に合わせて消火器具を使い分けながら安全な避難経路を作り出していく。救助した被災者はプレイヤーの後をついてくるため、彼らの安全を確保しながらセーフポイントまで導くという、緊迫感のある護衛要素がゲームの核となっている。

演出面では、洋画の吹き替えを意識したボイスワークや、ハリウッドのパニック映画を彷彿とさせるドラマチックな展開が特徴。救助の成否や選択によってエンディングは全18種類にまで及び、一人のヒーローとしてだけでなく、惨劇の中に交錯する人間模様を多角的に体験できる。

『HARD LUCK』は、スパイク(現スパイク・チュンソフト)が企画・発売した完全オリジナルのアクションゲーム。同社が後に手掛ける『絶体絶命都市』シリーズ(アイレム発売)などと共に、災害をテーマにした国産パニックアクションという希少なジャンルを形成する一翼を担った。

HARD LUCK