『おとなのギャル雀〜きみにハネ満!〜』は、実在のグラビアアイドルたちが店員を務める夢のような雀荘で、人生の岐路に立った主人公が退廃的かつ甘美なひとときを過ごす麻雀恋愛シミュレーション。2003年12月18日にパシフィック・センチュリー・サイバーワークス・ジャパン(PCCW Japan)からPlayStation 2で発売され、後にジャレコへと権利が移譲されながらシリーズ化された、実写系ギャルゲーの意欲作です。
本作の物語は、都会での生活に敗れ、田舎へ帰ることを決意した青年が、帰郷直前に全財産を握りしめて「ギャル雀荘」の暖簾をくぐる場面から始まります。プレイヤーはこの自堕落な主人公となり、夏目理緒や岡田ひとみといった当時人気のグラビアアイドル(実写)が待つ雀荘「アルテミス」に入り浸ります。ゲームの目的は、麻雀の勝敗だけでなく、対局中の会話やプレイスタイルを通じて女の子たちの好感度を上げ、最終的にデートの約束を取り付けることです。
システム面では、資金を稼ぐための「フリー雀荘」と、女の子との出会いを楽しむ「ギャル雀荘」を行き来する構成になっています。ギャル雀荘では、高い場代や指名料を支払って好みの女の子と同卓し、彼女たちの機嫌を損ねないように打つ(時にはあえて振り込むなどの接待プレイも含む)駆け引きが求められます。好感度が上がれば、ご褒美として貴重な水着ショットやコスプレ映像などのムービーを閲覧できるほか、個別のエンディングへと到達できます。
麻雀アルゴリズム自体はオーソドックスですが、実写ムービーを多用した演出や、当時のアイドルブームを反映したキャスティングは、ポリゴンキャラにはない生々しい魅力を放っています。主人公の「無職・帰郷前・ギャンブル」という背水の陣設定と、華やかなアイドルたちとのギャップが、独特の哀愁と興奮を醸し出す「おとなの」ファンタジー作品です。
『おとなのギャル雀』はオリジナル作品ですが、テーマとなっているのは「ギャル雀(若い女性が店員を務める雀荘)」という2000年代初頭に流行した実在の業態です。また、出演している夏目理緒などのアイドルたちは、当時の雑誌グラビアやバラエティ番組で活躍していました。













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