『十二国記 -紅蓮の標 黄塵の路-』は、小野不由美による小説『十二国記』を原作とし、2004年にKONAMIよりPlayStation 2向けに発売された作品です。異世界「十二国」の慶国を舞台に、現代日本から召喚された少女・中嶋陽子が王としての使命に目覚めていくアドベンチャーゲームです。

プレイヤーは陽子の視点で、異世界に放り込まれた混乱と孤独の中、仲間との出会いや戦いを通じて自らの運命を受け入れていきます。物語は原作『月の影 影の海』をベースにしており、アニメ版第1話から第14話までの展開を再構成した構成となっています。選択肢によって信頼関係や物語の分岐が発生し、複数のエンディングに到達することが可能です。

探索パートでは、フィールドを移動しながら情報を集め、イベントを進行させていきます。戦闘は簡易的なコマンド選択式で、物語の緊張感を高める演出として機能します。登場人物は陽子を中心に、楽俊、景麒、尚隆など原作の主要キャラクターがフルボイスで登場し、原作ファンには馴染み深い場面が多数再現されています。

本作はシリーズ初のゲーム化作品であり、続編や派生作品は存在しませんが、原作の世界観を忠実に再現した演出と、プレイヤーの選択によって変化する物語構造が特徴です。アニメや小説を未読のプレイヤーでも、ゲームを通じて十二国の世界に没入できる設計となっています。