『マックスペイン』、2003年5月22日にエレクトロニック・アーツから発売されたPlayStation 2対応のバイオレンス・アクションシューティングゲーム。妻子を殺され、同僚殺しの濡れ衣まで着せられた元NYPD刑事マックス・ペインが、復讐のためにマフィアや巨大な陰謀へと単身で立ち向かう、ハードボイルドなフィルム・ノワール作品となっています。

物語は、雪が降りしきるニューヨークの冷たい夜から始まります。麻薬取締局(DEA)の潜入捜査官となったマックスは、新型ドラッグ「ヴァルキア」の密売ルートを追う中で、自身の家族を奪った事件の真相へと近づいていきます。本作のストーリーテリングは非常に独特で、ステージの合間には実写を取り込んだアメコミ風の「グラフィックノベル」が挿入され、マックスの皮肉と悲哀に満ちたモノローグと共に物語が進行します。

ゲームシステムにおける最大の発明は、映画『マトリックス』のようなスローモーション演出をゲームに取り入れた「バレットタイム」です。発動中は時間の流れが遅くなり、飛び交う銃弾を視認して回避しながら、自身は照準を定めて正確に敵を撃ち抜くことができます。横っ飛びしながら二丁拳銃を乱射する「シュートドッジ」は本作の代名詞であり、圧倒的に不利な状況をスタイリッシュに覆すカタルシスが味わえます。

降り止まない雪、裏切り、そして復讐。陰鬱で退廃的な世界観と、アクション映画の主役になりきれる爽快感が見事に融合した、アクションゲームの歴史に残る金字塔です。

本作は、フィンランドのRemedy Entertainmentが開発し、2001年にPCで発売されたTPS(サードパーソン・シューティング)の傑作です。「バレットタイム」というシステムをビデオゲームに定着させ、その後のアクションゲームに多大な影響を与えました。脚本を担当したサム・レイク氏が主人公マックスの顔モデルを務めていることも有名で、後に続編や映画化も行われる人気シリーズとなりました。

マックスペイン