『吸血姫夕維 〜千夜抄〜』は、漫画家・垣野内成美氏が描く耽美で儚い吸血鬼の世界を、完全新作ストーリーとしてゲーム化したホラーアドベンチャー。2003年03月27日にジェネックスからPlayStation 2で発売されました。本作は、名作『吸血姫美夕』の世界観を受け継ぐ姉妹作『吸血姫夕維』を題材としており、原作漫画の繊細なタッチを再現したグラフィックで物語が展開されます。舞台となるのは、桜の咲く季節の教会系女学園。夜の校舎に呼び寄せられた5人の少女たちが、異界と化した学園内で次々と怪異に遭遇し、永遠の時を生きる吸血姫・夕維(ゆい)と、彼女を守る那嵬(なぎ)の戦いに巻き込まれていきます。

ゲームプレイは、5人の主人公(菜穂、聡美、美奈、歌織、そして謎の転校生・千沙)それぞれの視点から物語を読み解く「ザッピングシステム」を採用しています。プレイヤーは彼女たちの行動を選択し、校舎内を探索しながら真実に迫りますが、各シナリオは複雑に絡み合っており、ある少女の行動が別の少女の運命を左右することも少なくありません。また、画面下には精神的なダメージを表す「血量ゲージ」が表示されており、恐怖体験や間違った選択によってゲージが尽きるとゲームオーバーになるサバイバル要素も盛り込まれています。

本作の最大の特徴は、アニメ『serial experiments lain』などで知られる小中千昭氏がシナリオ監修を務めている点です。単なるキャラクターゲームに留まらない、精神を蝕むような陰湿で本格的なホラー描写が展開されます。垣野内成美氏の描く透明感あふれる美少女たちと、血塗られた惨劇とのコントラストが鮮烈で、美しくも残酷な「吸血姫」シリーズ独特の無常感を存分に味わえる一作となっています。

原作漫画『吸血姫夕維』は、アニメ化もされた『吸血姫美夕』のスピンオフとしてスタートし、独自の人気を確立した作品です。美夕が「監視者」として冷徹に神魔を狩るのに対し、夕維は自らの血の運命に翻弄されながらも戦う、より儚い存在として描かれています。ゲームでその世界観に惹かれた方は、原作コミックを読むことで、夕維と那嵬の出会いや、彼女が背負う過酷な運命の全貌を知ることができます。

吸血姫夕維 (コミック)

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