『みずいろ』は、幼い頃に交わした約束と、成長した少年少女たちが再び向き合う心の機微をテーマにした純愛アドベンチャー。2002年12月26日にインターチャネルからPlayStation 2で発売され、先行してPC向けに発表されていた情緒豊かな物語にフルボイス化や新規イベントを追加し、家庭用ゲーム機向けとしてより広い層へ展開されました。
物語の大きな特徴は、主人公とヒロインたちの幼少期を描く「過去編」と、高校生になった彼らの日常を描く「現在編」の二部構成にあります。過去編での何気ない選択や約束が、現在編におけるヒロインとの関係性に深く関わっており、長い年月を経て育まれてきた絆の重みを感じさせる構造となっています。タイトルの通り、雨上がりの空や澄んだ水面を思わせる透明感のある世界観が、作品全体を優しく包み込んでいます。
メインヒロインである片瀬雪希や進藤早苗といった個性豊かな少女たちは、それぞれが主人公に対して異なる想いを抱えています。昔のままの距離感で接してくれる者、成長とともに変化した感情に戸惑う者など、多感な時期ならではの繊細な心理描写が丁寧に綴られます。本作は「幼馴染萌え」のジャンルを確立させた一作としても名高く、近すぎた存在が恋人へと変わる瞬間のカタルシスは、多くのプレイヤーに瑞々しい感動を与えました。
PlayStation 2版では、PC版でのサブキャラクターであった「進藤神無」が攻略ヒロインに昇格したほか、全編にわたって豪華声優陣による音声が収録されました。また、原作を手掛けた「ねこねこソフト」特有の遊び心として、本編とは一線を画すコミカルなサイドストーリーや、隠し要素がふんだんに盛り込まれています。シリアスとユーモアの絶妙なバランスが、物語の深みをより一層引き立てています。
ビジュアル面においても、水彩画のような淡く美しい色彩で描かれた背景や、キャラクターたちの柔らかい表情が、プレイヤーを郷愁(ノスタルジー)の世界へと誘います。劇的な大事件が起きるわけではなく、あくまで等身大の男女が織りなす「日常の中の特別」を丹念に描き出した本作は、後の恋愛アドベンチャーゲームにおける金字塔のひとつとして、今なお根強い支持を得続けています。
『みずいろ』は、PCゲームブランド「ねこねこソフト」が2001年に発表した同名の純愛アドベンチャーを原作としています。本作のヒットにより、OVA化や小説化、さらには続編的な雰囲気を持つ『ラムネ』の制作へと繋がり、ノスタルジックな恋愛ゲーム路線の代名詞となりました。













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