『Thread Colors〜さよならの向こう側〜』は、失われた記憶と「死」の影が交錯する切ない物語を描いた恋愛アドベンチャーゲーム。2002年11月14日にディースリー・パブリッシャーからPlayStation 2で発売されました。その後、2004年03月18年には廉価版である『SIMPLE2000シリーズ Vol.45 THE 恋と涙と、追憶と…。』も発売されています。主人公の少年・当麻尚登は、交通事故に遭い、自身の名前以外の記憶を失ってしまいます。病院で目覚めた彼に残されていたのは、「最愛の人の体が冷たくなっていった」というおぼろげで悲しい感触だけ。プレイヤーは入院生活を通じて、幼馴染や義妹、そして病院で出会う少女たちと交流し、失われた過去の断片を拾い集めていきます。

ゲームプレイは、テキストを読み進めながら選択肢を選んでいくオーソドックスなアドベンチャー形式で進行します。特徴的なのは、プロローグ段階での選択によって攻略対象となるヒロインのルートが早期に確定する点です。共通ルートを長くプレイするのではなく、最初から特定のヒロインとの物語を深く掘り下げる構成になっており、それぞれのルートで全く異なる真実や人間関係が描かれます。また、物語の節目では「精神の崩壊」を暗示するような演出や、ガラスが割れるような効果音が挿入されることがあり、単なる恋愛ゲームとは一線を画す、心理的なサスペンス要素を含んでいます。

本作の独自性は、『Memories Off 2nd』などを手掛けた館山緑氏による、重厚かつシリアスなシナリオにあります。「死」や「別れ」といった重いテーマを真正面から扱っており、ハッピーエンドに至るまでの過程で描かれる苦悩や、救いのないバッドエンドの衝撃は、プレイヤーの心に深い爪痕を残します。風上旬氏による柔らかなキャラクターデザインと、佐藤裕美氏が歌う主題歌「CODA」の透明感あふれる歌声が、儚くも美しい作品世界を彩り、記憶を取り戻すことの痛みと優しさを問いかけます。

シナリオを担当した館山緑氏は、繊細な心理描写と切ない展開で評価されるライターです。本作で見られるような「記憶喪失」や「過去のトラウマ」を乗り越える物語に惹かれた方は、氏が参加した『Memories Off』シリーズのノベライズや、同様のテーマを扱った泣きゲーの名作に触れることで、その叙情的な世界観をより深く味わうことができます。

Memories Off 2nd (関連書籍)

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