『夏色の砂時計』は、唐突な別れと恋人の死という絶望的な未来を変えるため、不思議な力で時間を遡る少年を描いたタイムリープ・恋愛アドベンチャーゲーム。2002年05月30日にプリンセスソフトからPlayStation 2で発売されました。本作は、それまで移植作を中心に展開していたプリンセスソフトが初めて手掛けたオリジナル作品です。夏休みを目前に控えたある日、主人公の牧村耕太郎は、幼馴染であり恋人の芹沢香歩から一方的に別れを告げられてしまいます。失意の底で目覚めた彼は、時間が夏休みの初日へと巻き戻っていることに気づき、繰り返される日々の中で彼女の心変わりを防ぎ、やがて訪れる悲劇的な事故から彼女を救うために奔走することになります。

プレイヤーは主人公の視点を通じて、特定の期間(夏休み)をループしながら、香歩をはじめとするヒロインたちとの関係修復や、新たな事実の発見に挑みます。マップ移動や会話の選択肢によって物語の展開が変化し、一度目の時間軸では知ることのできなかった真実や、隠されたヒロインの本音が徐々に明らかになっていきます。過去の失敗を教訓に行動を変え、バッドエンドの運命を回避して、望む未来(トゥルーエンディング)へと歴史を修正していくパズル的な思考と、粘り強い探索が必要とされます。

キャラクターデザインには、繊細で透明感のあるタッチが特徴の村上水軍(現・村上水軍)氏を起用し、儚げなヒロインたちの魅力を引き立てています。また、メインヒロインの香歩役には水樹奈々氏が抜擢されており、彼女が歌うエンディングテーマや、KOTOKO氏によるオープニングテーマが、切なくも爽やかな夏の青春ドラマを彩っています。単なる恋愛劇に留まらず、タイムパラドックスや超常現象といったSF要素が物語の根幹に関わっており、謎が解き明かされる過程のカタルシスと、純愛ストーリーの感動が融合した作品として構築されています。

本作は、プリンセスソフトの初期を代表するオリジナルタイトルです。タイムリープ(時間跳躍)を扱った青春ストーリーは、筒井康隆の『時をかける少女』などに通じる普遍的な魅力を持っています。時間が戻る不思議や、青春のやり直しというテーマに興味を持った方は、ジャンルの原点とも言えるこちらの小説を読むことで、本作のSF的なギミックや切ない心理描写をより深く味わうことができるでしょう。

時をかける少女 (角川文庫)

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