『ウェーブラリー』は、刻一刻と変化する荒波を読み、水しぶきを上げながら最速のラインを描く、カワサキ公認の本格ジェットスキー・レーシングゲーム。2002年1月31日にアイドス・インタラクティブからPlayStation 2で発売され、PlayStation 2の描画能力をフル活用したリアルな水の物理表現と、実在する「ジェットスキー」のブランドを全面的に押し出した硬派なマリンスポーツゲームとして展開されました。
本作の最大の特徴は、タイトルにもある通り「波(ウェーブ)」の挙動にあります。コース上の波は単なる背景アニメーションではなく、物理演算によってリアルタイムに変化し続けています。穏やかな水面が突如として荒れ狂う高波へと変わり、マシンを高く跳ね上げたり、あるいは行く手を阻んだりします。プレイヤーは単にアクセルを握るだけでなく、波の頂点を利用して加速する「波乗り」の技術や、着水時の姿勢制御といった繊細なコントロールを要求されます。
「Jet Ski(ジェットスキー)」の登録商標を持つ川崎重工業(Kawasaki)の公式ライセンスを取得しており、「ウルトラ150」や「1100 STX D.I.」といった当時の最新モデルが実名で登場します。マシンごとの旋回性能や加速力の違いも再現されており、水上バイク特有の「滑りながら曲がる」浮遊感のある操作性は、陸上のレースゲームにはない独特の心地よさと難しさを提供します。また、モルディブやベニスの運河といった世界各地を舞台にしたコースは、時間帯や天候によって表情を変え、美しい夕日や激しい嵐の中でのレースを楽しむことができます。
開発は日本のデベロッパーであるオーパス(Opus)が担当していますが、発売元がアイドスであることや、BGMに海外のドラムンベースレーベル「Moving Shadow」の楽曲を採用していることから、全体的に洋ゲーのようなクールでストイックな雰囲気が漂っています。派手な演出よりも、波と一体化するストイックな走行感を重視した、職人気質なレースゲームです。
『ウェーブラリー』はオリジナル作品ですが、題材となっている「ジェットスキー(Jet Ski)」は川崎重工業の登録商標であり、水上オートバイの代名詞として世界中で親しまれています。本作は、そのブランドを冠した数少ない公認ゲームの一つです。













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