『牧場物語3 ハートに火をつけて』は、2001年7月5日に株式会社ビクターインタラクティブソフトウェアよりPlayStation 2専用ソフトとして発売されたほのぼの生活シミュレーションゲームです。「牧場物語」シリーズのPlayStation 2参入第一弾として登場し、シリーズ初の3Dグラフィックによる表現で牧場生活が描かれています。プレイヤーは亡き祖父の牧場を受け継いだ主人公となり、村の再開発による「レジャーランド建設」を阻止するため、1年という限られた期間の中でシュガー村を救う方法を模索します。

物語は、主人公が父からの手紙を受け取り、整理のために訪れた牧場で大地の精霊コロボックルと出会うことから始まります。牧場経営を通じて村の人々と交流し、信頼を築くことで開発計画を撤回させる手がかりを見つけることが目的です。本作では従来のシリーズとは異なり、恋愛や結婚といった要素よりも人間ドラマに重きが置かれており、村人一人ひとりと深く関わることでシナリオが分岐するマルチエンディング方式が採用されています。プレイヤーの行動によって「村を救う方法」が変化し、それぞれの結末に向けて異なるストーリーが体験可能です。

本作の特徴として、1年(4つの季節)という明確な期間制限と、エンディング到達後に再び最初からプレイを開始する周回要素が挙げられます。一度のプレイですべてのイベントを見ることは難しく、繰り返し遊ぶことで異なるエンディングを目指すゲームデザインとなっています。また、出荷箱が存在せず収穫物を直接店に売りに行くシステムや、家畜の世話、釣り、アルバイトといった日常の行動がそのまま村の運命に関わるフラグとなるなど、戦略的な時間管理が求められます。3D化された牧場や村の風景は、四季の移ろいや天候の変化を美しく表現し、没入感のある生活を提供します。

本作はシリーズのナンバリングタイトルとして位置づけられていますが、特定の原作を持つリメイクや移植ではなく、PlayStation 2向けに新たに構築されたオリジナル作品です。後にPlayStation Portable向けに『牧場物語 シュガー村とみんなの願い』としてリメイクされ、本作の基本設定やキャラクターを継承しつつ、結婚システムや新たなイベントが追加された完全版としての再構成が行われています。

牧場物語 シュガー村とみんなの願い PSP