『アンジェリーク トロワ』は、2000年にPlayStation 2向けに発売された「アンジェリーク」シリーズの第3作であり、シリーズ初のPS2専用タイトルとして位置づけられています。本作では、前作『Special2』の主人公アンジェリーク・コレットが再登場し、新宇宙に突如現れた謎の大陸「アルカディア」の育成を通じて、宇宙の危機に立ち向かう物語が展開されます。従来の育成型恋愛シミュレーションの構造を踏襲しつつ、演出面とシステム面で大幅な進化が図られた設計です。

ゲームシステムは、守護聖たちの力「サクリア」を活用して大陸を育成する形式で構成されており、建物の建設やイベント発生が育成状況に応じて変化します。恋愛要素は、好意と敬意の二軸による親密度パラメータが導入されており、従来よりも関係性の多様性が強化されています。また、ライバルキャラクターが存在しない構造となっており、プレイヤーは純粋に育成と交流に集中できる設計です。

登場キャラクターは、旧宇宙の守護聖9名に加え、『Special2』で登場した教官・協力者たちが再登場し、物語の進行に関与します。さらに、謎の青年アリオスや新宇宙の女王補佐官レイチェルなど、シリーズの時系列を踏まえたキャラクター配置が行われており、前作との連続性が強調されています。クラヴィス役の声優交代（塩沢兼人氏から田中秀幸氏への変更）も本作から適用されており、シリーズの制作背景にも影響を与えた作品です。

2002年には『アンジェリーク トロワ 愛蔵版』がDVD-ROM形式で発売され、追加ムービーや友情イベント、OVA『白い翼のメモワール』のダイジェスト収録などが施された豪華仕様となっています。キャラクターデザインは由羅カイリ氏、アニメーション制作はゆめ太カンパニーが担当し、演出面では2Dと3Dの融合による視覚的強化が図られています。これにより、シリーズの集大成的な位置づけを持つ作品として評価されています。