『マーメイドの季節』は、海辺の町でのひと夏の家庭教師生活を描く恋愛アドベンチャーゲーム。2001年03月29日にネットビレッジからプレイステーションで発売されました。また、その世界観を補完するファンディスク『マーメイドの季節 〜カーテンコール〜』が2002年08月01日に同社から発売されています。物語の舞台は、美しい海と「人魚伝説」が残る田舎町。主人公・高遠夏目は、知り合いの老人の頼みで、夏休みの間だけ彼の孫娘たちの家庭教師を務めることになります。古びた洋館での共同生活を通じて、少女たちとの絆を深め、町に秘められた少し不思議な秘密に触れていく物語です。
ゲームシステムは、ヒロインたちの育成と交流が主軸。平日は「国語」や「体育」などのスケジュールを組み、彼女たちのパラメータを変化させることで、シナリオの分岐や性格の変容を促します。育成結果によってはヒロインの髪型や服装が変化する「ビジュアル変化システム」を搭載。一方、ファンディスクである『カーテンコール』では、本編の前日譚を描く「プレリュード」や、ヒロインがDJを務めるラジオモード、全900問のマニアックなクイズなどを収録。本編の育成要素から離れ、キャラクターの魅力を多角的に味わえるバラエティ豊かな構成です。
本シリーズの大きな特徴は、後に直木賞作家となる桜庭一樹氏(当時は山田桜丸名義)が手掛けたシナリオと、成瀬ちさと氏による柔らかなキャラクタービジュアル。単なる萌え要素だけでなく、思春期の少女特有の危うさや、夏の終わりの寂寥感を漂わせた文学的なテキストが展開されます。ファンディスクで補完された物語と合わせることで、美しいビジュアルの裏に隠されたミステリアスな世界観を、より深く理解できる仕掛けです。
本作のシナリオを担当した「山田桜丸」氏は、後に『私の男』で直木賞を受賞する作家・桜庭一樹氏の別名義です。氏の作家としての原点の一つとも言えるこのシリーズは、美少女ゲームの枠組みの中で文学的な表現やミステリアスな構成を試みた意欲作として知られています。氏の代表作である『GOSICK -ゴシック-』などの小説作品に触れることで、その物語世界に通底する独特の空気感をより深く理解することができます。













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