『PANZER FRONT bis.(パンツァーフロント・ビス)』は、第二次世界大戦を舞台に実在の戦車を操り、リアリティを追求した過酷な戦場を駆け抜ける3D戦車シミュレーションです。2001年2月8日にエンターブレインからPlayStationで発売され、1999年に登場した前作に膨大な追加要素と改良を施したアップグレード版として大きな支持を得ました。

本作は、単純なアクションゲームとは一線を画す徹底したリアリズムが貫かれています。戦車の装甲厚や砲弾の貫通力、命中時の入射角による弾かれ(跳弾)といった物理演算が精密にシミュレートされており、敵の弱点を突く戦術的な立ち回りが求められます。また、当時の戦車兵が実際に使用していた照準器を再現した「ガンナー視点」での射撃は、遠距離での弾道計算や敵の移動予測が必要となる本格的な仕様です。

ミッションは、ドイツ、ソ連、アメリカ、イギリスといった各国の戦車兵の視点から描かれる史実に基づいたシナリオが中心です。今作『bis.』では、前作で要望の多かったミッション数の増加に加え、新たに「コンストラクションモード」を搭載。地形や敵の配置、勝利条件をプレイヤー自身で設定してオリジナルミッションを作成できるようになったことで、遊びの幅が飛躍的に広がりました。

登場する戦車は、ティーガーIやパンター、T-34といった歴史的名車はもちろん、実戦投入されなかった試作車両や計画車両まで幅広く網羅されています。さらに、本作独自のデザインによる架空の近未来戦車も収録されており、時代を超えた戦車同士の対決を楽しむことも可能です。各車両の駆動音や主砲の轟音、周囲の環境音に至るまで細部まで作り込まれた演出が、戦場の緊張感を一層引き立てます。

ゲーム内には詳細な戦車図鑑や戦史資料も収録されており、プレイを通じて当時の軍事技術や歴史的背景を深く学ぶことができる学習ツールとしての側面も持ち合わせています。シミュレーターとしてのストイックな操作感と、戦車愛好家の欲求を満たす膨大なデータベースが高度に融合した、まさに戦車ゲームの金字塔と呼べる一作に仕上げられています。

『PANZER FRONT bis.』は、ミリタリー雑誌の監修や専門家のアドバイスを受けて制作された『パンツァーフロント』シリーズの完成形となる作品です。特定の漫画やアニメを原作とせず、第二次世界大戦の史実と戦車工学を徹底的にリサーチしたデータに基づいて構築されたオリジナルのシミュレーション作品です。

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