『絆という名のペンダント』は、海辺の街を舞台に、古びたペンダントに秘められた過去の記憶と少女たちとの絆を巡る純愛アドベンチャー。2000年4月6日にNECインターチャネルからPlayStationで発売され、1999年にPC向けに発表された伝奇的要素を含む物語を家庭用向けに移植した作品として登場しました。
物語の舞台は、海に面した静かな街「水沢(みずさわ)」です。主人公・深沢勇介は、幼い頃にこの街で過ごしていましたが、ある事情により街を離れていました。数年ぶりに戻ってきた彼は、肌身離さず持っている古びたペンダントを手がかりに、失われた記憶と、かつて心を通わせた少女たちとの絆を取り戻すための日々を過ごすことになります。
ゲームの主軸は、幼馴染の七瀬なるみや、不思議な雰囲気を持つ少女・水沢かほといったヒロインたちとの交流です。物語は日常の風景から始まりますが、徐々にペンダントの由来や街に伝わる伝説、そして主人公が忘れていた凄惨な記憶といったシリアスな要素が絡み合っていきます。過去と現在が交錯する中で、誰を信じ、どのような未来を選択するかがプレイヤーに委ねられます。
システム面は、テキストを読み進めながら選択肢によって物語を分岐させるオーソドックスなアドベンチャー形式を採用しています。PlayStation版への移植に際しては、PC版にはなかった新規のイベントグラフィックやシナリオが追加されたほか、実力派声優陣によるフルボイス化が施されました。ヒロインたちの感情豊かな言葉が、切なくも温かい物語の没入感をより一層高めています。
ビジュアル面では、繊細なタッチで描かれたキャラクターたちが、透明感のある海辺の情景と共に美しく表現されています。劇的な大事件が起きるわけではなく、日常の中に潜む小さな「絆」を丁寧に積み重ねていく演出は、後の恋愛アドベンチャーゲームにおける「泣きゲー」や「純愛」ジャンルの先駆け的な魅力を放っています。
『絆という名のペンダント』は、美少女ゲームブランド「Lune(リュヌ)」が1999年に制作したPCソフト『Pendant』を原作としています。後に2004年にPlayStation 2で発売された『絆という名のペンダント 〜With TOYBOX〜』とは、開発スタッフや一部のコンセプトを共有する別作品の立ち位置となります。












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