『モンスターパニッシュ』は、プレイステーション市場の末期にひっそりと現れ、その極端な流通量の少なさと難解なシステムでコレクターを震え上がらせる対戦型モンスター討伐ボードゲーム。1999年12月16日にテイチクからPlayStationで発売され、演歌の老舗がゲーム事業から撤退する直前に残した、幻のプレミアソフトとして一部で語り継がれています。
本作は、最大4人のプレイヤーが「ハンター」となり、マップ上に生息するモンスターを討伐してポイントを競い合うボードゲームです。一般的な「すごろく」とは異なり、サイコロで移動するだけでなく、RPGのようなコマンドバトルが展開されるのが特徴です。プレイヤーは戦士や魔法使いといった個性的な7人のキャラクターから1人を選び、全5エリアを巡ってボスモンスターの撃破を目指します。しかし、本作を際立たせているのは、そのあまりにも複雑で説明不足なゲームシステムにあります。
移動、戦闘、カードの使用といった行動の自由度が高い反面、画面上の情報量が多く、初見では何をすれば効率的にポイントを稼げるのか理解するのが困難です。敵との戦闘はターン制で行われますが、属性相性や必殺技の仕様が独特で、ボードゲームの手軽さよりもTRPGのような綿密な計算が求められます。また、ストーリー要素も存在するものの、イベント演出は簡素でボイス等は収録されておらず、淡々と進行するストイックな作りとなっています。
発売当時、広告展開がほとんど行われなかったため流通量が極めて少なく、現在では中古市場で見かけることさえ稀な「激レアソフト」と化しています。ゲームとしての評価よりも、その希少性と「テイチク最後の秘宝」としての存在感が先行している作品ですが、難解なルールを完全に把握したプレイヤー同士で対戦を行えば、意外にも戦略的な駆け引きが成立するという、スルメゲー的な側面も持ち合わせています。
『モンスターパニッシュ』は特定の原作を持たないオリジナル作品です。開発元のシエスタや発売元のテイチクは、本作の発売からほどなくして家庭用ゲーム事業から姿を消しており、まさに世紀末に消えた徒花のような存在といえます。













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