『東京惑星プラネトキオ』は、カルト作『LSD』で知られるマルチメディアクリエイター・佐藤理(OSAMU SATO)氏がプロデュースした、極彩色とテクノサウンドが渦巻くサイケデリック・アドベンチャー。1999年8月26日にアスミック・エース エンタテインメントからPlayStationで発売され、空中に浮かぶ未来の東京を舞台に、奇妙な住人たちと脱力系のドラマを繰り広げる異色作として展開されました。
物語の舞台は、大地震によって大地から切り離され、空中に浮遊する惑星のようになった都市「東京惑星プラネトキオ」。主人公の少年・イケンは、中華料理店「来来軒」の奥に秘密研究所を構える天才科学者・宝琴(ほきん)博士の命令で、突如襲来した宇宙人たちを撃退する「私設プラネトキオ防衛隊」の隊員(パシリ)に任命されます。シブヤ、アキバ、アサクサといったかつての東京の面影を残しつつも、摩訶不思議に改造された浮遊島をエアバイクで駆け巡り、宇宙人の弱点を探るための情報収集を行います。
本作の戦闘システムは非常にユニークです。街で拾い集めた「ガラクタ(アイテム)」を、対宇宙人兵器「ナルナル1号」という銃に装填して発射することで攻撃を行います。例えば「エッチな本」を撃てば敵が興奮して爆発したり、「腐った牛乳」でお腹を壊させたりと、アイテムごとの突飛なリアクションを楽しむことが主眼に置かれています。イケン君が攻撃前に「これを撃ったらどうなるか」を妄想する「予想ムービー」が挿入されるなど、勝敗よりもシュールな演出そのものを楽しむ作りとなっています。
CD-ROM3枚組という大ボリュームで構成されていますが、その容量の多くはフルボイスのイベントシーンや、佐藤理氏が手掛ける高品質なテクノ・ミュージック、そしてプリレンダリングされた奇抜なCGムービーに割かれています。ゲームとしての攻略難易度は低めで、どちらかと言えばインタラクティブなアート作品や、動く絵本に近いプレイ感です。意味不明ながらもどこか愛らしいキャラクターデザインと、無機質でポップな世界観は、一度ハマれば抜け出せない中毒性を持っています。
『東京惑星プラネトキオ』はオリジナル作品ですが、プロデュースを手掛けた佐藤理氏は、本作以外にも『東脳』や『LSD』といった独創的なゲーム作品、およびテクノミュージシャンとしての活動でカルト的な人気を誇るアーティストです。本作は氏の作品群の中では比較的ストーリー性が明確で、ポップな作風に位置づけられます。













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