『ライジング ザン ザ・サムライガンマン』は、1999年にウエップシステムよりプレイステーション向けに発売された3Dアクションゲームです。本作は、西部劇と時代劇を融合させた独自の世界観を持ち、主人公「斬(ザン)」が刀と銃を駆使して敵組織「邪火龍(ジャッカル)」と戦う構成で展開されます。アメリカ人が抱く誤解混じりの日本文化を大胆に取り入れた演出が特徴で、特撮やアニメ的な要素を多分に含んだ「バカゲー」としても知られています。

ゲームシステムは、近接武器である刀と遠距離武器である銃を使い分ける構造で、必殺技は「スピリッツゲージ」を消費して発動する形式です。敵を倒したり住民を救助することで「ヒーローメーター」が上昇し、一定値に達すると「ハッスルタイム」に突入可能となります。この状態では移動速度や攻撃性能が強化され、必殺技が使い放題になるなど、爽快感を重視した設計が施されています。さらに、ボス戦では「トドメ・ファイナル」と呼ばれる連打イベントが挿入され、演出面でも盛り上がりを見せます。

演出面では、主題歌『サムライガンマン 斬 ザ・ザーン』を影山ヒロノブが担当しており、熱血ヒーロー作品を意識した構成が随所に見られます。敵キャラクターは忍者、力士、芸者など日本文化の象徴を戯画化した存在で、音声と字幕が一致しない奇妙な台詞回しが意図的に採用されています。これにより、異文化への誤解と愛着が混在したユニークな世界観が形成されています。ステージ構成も「IMPACT」と呼ばれる章立てで展開され、各ステージに固有の演出とボスが用意されています。

本作は、後にゲームアーカイブスで配信され、PS3やPSPでもプレイ可能となりました。開発元のウエップシステムは2001年に解散しましたが、スタッフは後に「スタジオ斬」を設立し、同社名は本作の主人公「斬」に由来しています。『ライジング ザン』は、アクションゲームとしての完成度以上に、企画性と演出力によって強い印象を残したタイトルであり、1990年代末期のゲーム文化を象徴する一作として記録されています。