『ミリオンクラシック』は、1999年にPlayStationで発売された競走馬育成シミュレーションゲームで、従来の血統や配合に加え、DNAという新たな概念を導入した意欲作です。競馬ゲームの中でも特異な立ち位置を持ち、遺伝子レベルでの能力設計という革新的なシステムが話題を呼びました。発売当時は、競馬ファンや育成シミュレーション愛好者の間で注目されましたが、その複雑さゆえに賛否が分かれる作品となりました。
プレイヤーは、種牡馬と繁殖牝馬のDNAを組み合わせて理想の競走馬を生み出し、育成・調教・出走を繰り返しながら、GI制覇を目指します。従来の競馬ゲームに見られる血統表や能力値に加え、DNA配列による能力変化が導入されており、配合の奥深さと難解さが同居しています。育成過程では、調教メニューやレース選択が馬の成長に直結し、プレイヤーの判断力が試される場面が多く存在します。
ゲーム内では、実在の競馬場を模したコースや、架空の馬名が登場し、競馬ファンでなくとも楽しめるよう配慮されています。一方で、DNAシステムの理解が進まないと、思うように強い馬が育たず、試行錯誤を重ねる必要があります。そのため、初心者にはやや敷居が高いものの、育成の奥深さに魅了されたプレイヤーにとっては、長く遊べる作品となっています。演出面は控えめながら、育成と配合に特化した設計が本作の個性を際立たせています。
本作はPlayStation専用タイトルとして、当時のハード性能に合わせたシンプルなグラフィックと操作性を採用しています。派手な演出やムービーは存在しないものの、育成システムに注力した設計は、競馬ゲームの中でも異彩を放つ存在です。後年の競馬ゲームにDNA的要素が取り入れられるきっかけとなったとも言われ、ジャンルの可能性を広げた一作として記憶されています。
コメントを追加