『デューク ニューケム トータル メルトダウン』は、1999年にキングレコードよりプレイステーション向けに発売されたファーストパーソン・シューティングゲームです。本作は、PC版『Duke Nukem 3D』をベースにした移植作品であり、1996年に3D Realmsが開発したオリジナル版の世界観とゲーム性を家庭用機向けに再構成したタイトルです。プレイヤーは筋骨隆々の主人公「デューク・ニューケム」となり、地球侵略を企むエイリアンたちを撃退する任務に挑みます。

ゲームは3D空間を自由に移動しながら、銃器や爆発物を駆使して敵を排除していく構造で、当時の家庭用機としては珍しい本格的なFPS体験を提供しています。ステージは都市部、宇宙基地、地下施設など多彩なロケーションで構成されており、探索要素や隠し通路の発見など、単なる撃ち合いに留まらない設計が施されています。また、インタラクティブなオブジェクトやユーモラスな演出が随所に盛り込まれており、主人公の過激な台詞回しと相まって独特の世界観を形成しています。

PS版では、オリジナル版に存在した4つのエピソードに加え、家庭用向けに調整された操作系やインターフェースが導入されています。ただし、グラフィック面ではPC版に比べて解像度や描画距離に制限があり、視認性や操作性に課題が残る仕様となっています。さらに、ゲーム中の表記が英語のままであることや、敵の攻撃判定が視覚的に分かりづらいなど、ユーザビリティ面での不親切さも指摘されています。

演出面では、過激な暴力描写やセクシャルな表現が含まれており、CEROによる年齢区分が導入される以前の作品ながら、Z指定相当の内容を含む構成です。主人公の台詞は英語音声で収録されており、字幕や翻訳は存在しないため、英語力が求められる場面もあります。全体としては、PC版の雰囲気を家庭用機で再現することを目的とした移植作であり、FPS黎明期の貴重な資料的価値を持つタイトルと位置づけられます。