『頭文字D』は、1999年に講談社から発売されたPlayStation用レースゲームです。原作漫画『頭文字D』の連載元である講談社が自ら開発・発売を手がけた唯一のゲーム作品であり、後にセガが展開する『ARCADE STAGE』シリーズとは一切関係がありません。ゲームは原作のエンペラー編までを題材としており、藤原拓海や高橋兄弟などのキャラクターが登場します。

本作では、登場人物がCGで再現され、ムービーシーンも収録されていますが、音声は未収録で口パクのみの演出となっています。コースは秋名、妙義、碓氷の3種類に加え、オリジナルの周回コースが存在します。登場車種は型式名で表記されており、実車メーカーのライセンスは取得されていません。隠し車両として「悪魔のZ」や「なつきのパパのベンツ」など、原作ではバトルに登場しない車も収録されています。

ゲームシステムは通常のレースゲームに準じていますが、AE86など一部車種では100km/hを超えると警告音(キンコン音)が鳴るなど、実車の仕様を再現した演出も含まれています。ストーリーモードは原作の進行に合わせて構成されており、エンペラーとのバトルで終了します。原作ファン向けの要素が多く盛り込まれた作品ですが、ゲームとしての完成度はキャラクターゲームの域を出ない構成となっています。