名称 | serial experiments lain |
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ジャンル | アドベンチャー |
発売元 | パイオニアLDC |
発売日(配信日) | 1998年11月26日 |
機種 | PlayStation(PS) |
年齢区分 |
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『serial experiments lain』は、単なるゲームという枠を超え、アニメ、雑誌連載と並行して展開されたメディアミックスプロジェクトの一環として誕生した作品だ。1990年代後半、インターネット黎明期の空気感を色濃く反映し、現実世界とネットワーク世界(ワイヤード)の境界が曖昧になる世界観を提示。14歳の少女・玲音(lain)を主人公に、オンライン時代の集合的無意識という深遠なテーマを、サイコホラー的な手法で描き出した。メディア間の相互参照によって世界観への理解が深まるという、当時としては実験的な試みも行われている。陰鬱とした雰囲気、そして「存在は認識=意識の接続によって定義される」という哲学的な問いかけは、多くのプレイヤーに強烈な印象を与えた。
物語は、渋谷のビルから女子中学生が飛び降り自殺を図るという衝撃的なシーンから始まる。主人公・岩倉玲音は、死んだはずの同級生からメールを受け取ったことをきっかけに、NAVI(ナビ)と呼ばれるネットワーク端末を通じてワイヤードの世界へと足を踏み入れていく。玲音の周囲では奇妙な事件が頻発し、彼女自身も正反対の性格を持つ存在として認識されるようになる。リアルワールドとワイヤードの境界線が曖昧になるにつれ、玲音を巡る真実はますます分からなくなっていく。物語の結末は、アニメ版とゲーム版で大きく異なり、プレイヤーはそれぞれの媒体で異なる「lain」の物語を体験することになる。
本作の魅力は、何と言ってもその独特な世界観にあるだろう。高度に発展したネットワーク社会を舞台に、現実と仮想空間の区別がつかない曖昧な現実が描かれる。作中には、実在するコンピュータやOSをモチーフにしたアイテムが多数登場し、リアリティを高めている。AR/VRゴーグルを装着したキャラクターや、メタバースのようなアバターを用いたコミュニケーションなど、現代社会を予見するような描写も目を引く。登場人物が語る真実も、必ずしも事実であるとは限らない。プレイヤーは、玲音の主観を通して世界を体験し、ネットワークやコミュニケーションの本質について深く考えさせられる。
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