『五竜陣+エレクトロ』は、出版事業などを手掛ける株式会社アスク(旧・アスク講談社)が送り出した、極めて独創的な対戦型思考パズルゲーム。1998年10月29日にPlayStationで発売されました。
本作の核となるのは、五角形の盤面と「五行説」のような属性(木・火・土・金・水)をモチーフにした陣取りゲーム「五竜陣」です。プレイヤーは交互にコマを打ち、相手のコマを挟んで裏返したり、特定の陣形を作ってポイントを稼いだりしながら勝敗を競います。ルール自体はオセロや連珠に通じるストイックな思考ゲームですが、本作が異彩を放っているのは、そのタイトルにある「+エレクトロ」の部分です。
画面を彩るのは、シュールで愛らしい「クレイアニメ(粘土)」のキャラクターたちと、当時のクラブカルチャーを反映したようなサイケデリックなビジュアル。そしてBGMを担当するのは、後に『サルゲッチュ』や『ファンタビジョン』の音楽でブレイクする音楽制作集団「マニュアル・オブ・エラーズ(Manual of Errors)」です。山口優氏や常盤響氏らが手掛けた、ラウンジ、テクノ、モンドミュージックを横断する洗練されたサウンドが、渋いパズルゲームを「ポップアート」の領域へと押し上げています。思考の海に沈む静けさと、視聴覚を刺激するポップさが同居した、PlayStation中期ならではの実験精神あふれる一本です。
本作のサウンドを手掛けたマニュアル・オブ・エラーズは、山口優氏らが率いる音楽制作プロダクションです。90年代後半から2000年代にかけて、ゲーム音楽の分野でも『ガボールスクリーン』『ファンタビジョン』『サルゲッチュ』など、テクノやラウンジミュージックを取り入れた名曲を数多く生み出しました。その「おしゃれで少し奇妙な」サウンドは、今もなお多くのファンに支持されています。













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