『火星物語』は、文化放送のラジオ番組「広井王子のマルチ天国」内で放送されたリスナー参加型ラジオドラマをゲーム化したファンタジーRPG。1998年10月22日にアスキーからPlayStationで発売されました。

「家族にやさしいRPG」というキャッチコピーの通り、温かみのある世界観と物語を重視した作品です。舞台は、人々が「風」と共に生きる惑星・火星(ロマンシア)。主人公の「少年A(フォボス)」は、12歳になると名前と職業を授かる「命名の儀」を受けるため、親友の「少年B」や道中で出会う「少女Y(セイラ)」と共に冒険の旅に出ます。イベントシーンはローポリゴンのキャラクターたちがパントマイムのように動く「ポリゴン人形劇」という手法で表現され、絵本のような独特の雰囲気を醸し出しています。

戦闘システムは「アドリブバトル」と呼ばれ、フィールド上にある岩やドラム缶などの「オブジェ」を持ち上げて敵に投げつけたり、時には味方すら武器として投げたりと、自由度の高いアクションが可能です。また、ラジオドラマの雰囲気を再現するため、ストーリーの合間には千葉繁と横山智佐による軽妙な掛け合いが楽しめる「幕間」コーナーが挿入されます。

本作の原作は、マルチクリエイター広井王子がパーソナリティを務めたラジオ番組内で展開されたドラマシリーズです。キャラクターデザインは、SF小説の挿絵や漫画で知られるイラストレーター・水玉螢之丞(みずたま けいのじょう)が担当しており、その愛らしいキャラクターたちが本作の優しい世界観を支えています。

水玉螢之丞 (関連書籍・画集)