『アンジェリーク デュエット』は、1998年7月30日にPlayStationおよびセガサターン向けに同時発売された恋愛育成シミュレーションゲームです。本作は、1996年に登場した『アンジェリークSpecial』の強化リメイク版として位置づけられており、従来の主人公アンジェリーク・リモージュに加えて、ライバルキャラクターであるロザリア・デ・カタルヘナをプレイヤーキャラクターとして選択可能になった点が最大の特徴です。これにより、視点の切り替えによる物語の再構成が可能となり、シリーズの世界観に対する理解と没入感が大幅に向上しています。
ゲームシステムは、惑星育成による女王試験と、守護聖との恋愛イベントを軸に構成されています。守護聖は光・闇・風・水・炎・緑・鋼・夢・地の9属性に分かれており、それぞれ異なる性格と能力を持つ男性キャラクターとして登場します。プレイヤーの選択によって惑星の発展度や守護聖との親密度が変化し、複数のエンディングに分岐する設計が採用されています。また、ロザリア視点でのプレイでは、アンジェリークの行動がNPCとして描写されるため、従来とは異なる関係性やイベントが展開される構造となっています。
PS版とSS版の違いは、主に演出処理と音声再生タイミングにあります。PS版ではセーブ・ロードのレスポンスやUI操作性が安定しており、SS版では一部アニメーションの再生が滑らかに表現される傾向があります。両機種ともにフルボイス化が実現されており、豪華声優陣による演技が物語の臨場感を高める要素として機能しています。さらに、アルバム機能やイベント回想機能が追加されており、プレイ履歴の管理や再鑑賞が可能となっています。
グラフィックは2Dアニメーションと静止画を組み合わせた構成で、由羅カイリ氏によるキャラクターデザインが継続採用されています。背景や演出はファンタジックな世界観を強調する構成となっており、女王候補としての成長と恋愛の葛藤を視覚的にも表現しています。音響面では、葛生千夏氏による音楽と守護聖ごとの専用テーマが導入されており、場面ごとの感情変化を効果的に演出する要素として機能しています。
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