『マリア 君たちが生まれた理由』は、1997年12月11日にPlayStationおよびセガサターン向けにアクセラから発売されたインタラクティブ・ドラマ型アドベンチャーゲームです。開発はブレイクが担当し、テレビドラマのような演出と、重厚なサスペンスストーリーが特徴です。

物語は、16歳の女子高生・筒井マリアが自殺未遂を起こし、慈愛堂病院に搬送されるところから始まります。彼女の担当医となった高野潤は、カウンセリングを通じてマリアが多重人格(解離性同一性障害)であることを知り、彼女の内面に潜む複数の人格と向き合っていくことになります。人格には「オシリス」「イシス」「セト」「ホルス」など、エジプト神話に由来する名前が付けられており、それぞれがマリアの感情や記憶、復讐心などを象徴しています。

ゲームは章立てで進行し、各章の終わりにはエンドロールが挿入されるなど、テレビドラマ的な構成が採用されています。探索パートではポリゴンムービーを用いた演出があり、プレイヤーの選択によって物語の展開が変化します。全体としてはサウンドノベルに近い構成ですが、仮想OS「レインボウズ98」などのユニークな要素も盛り込まれています。

また、マリアの人格たちが「演技」だった可能性を示唆する展開や、事件の真相に迫るサスペンス要素もあり、プレイヤーの解釈によって印象が大きく変わる作品です。1999年には続編『マリア2 受胎告知の謎』も発売されましたが、物語的には独立した内容となっています。

重いテーマを扱いながらも、演出や音楽、キャラクター描写に定評があり、今なお語り継がれる異色のアドベンチャーゲームです。