『アイマックス将棋II』は、伝統的なボードゲーム「将棋」に、子供心をくすぐるファンタジーRPGの要素を大胆にミックスした異色の将棋シミュレーション。1997年10月9日にアイマックスからPlayStationで発売され、硬派な本格将棋を楽しみたい層と、将棋を覚えたい低年齢層の双方をターゲットにした「二刀流」のソフトとして展開されました。

本作の最大の特徴は、全く異なる2つのモードを搭載している点にあります。一つは「将棋倶楽部」と呼ばれる本格的な対局モードで、こちらは実戦的な思考ルーチンを相手に、名人杯争奪トーナメントを勝ち抜くストイックな作りとなっています。しかし、本作の真骨頂はもう一つのモード「クリスタルパワーの伝説」にあります。これは将棋の世界をファンタジーRPG風にアレンジしたストーリーモードで、盤上の駒が騎士やドラゴンといったキャラクターに置き換わり、駒同士がぶつかると派手な戦闘アニメーションが挿入されるという、デジタルの特性をフル活用した演出が楽しめます。

「クリスタルパワーの伝説」では、単に見た目が変わるだけでなく、ゲームシステム自体も大胆にアレンジされています。対局中にアイテムを使用することで「歩をいきなりと金(馬のような強力なキャラ)に変える」といった、通常の将棋ではあり得ない「魔法」のような逆転手が使用可能です。将棋のルールをまだ完全に理解していない子供でも、視覚的な楽しさとアイテムによる爽快感で飽きずに遊べるよう工夫が凝らされています。一方で、盤面の駒がキャラクター化しているため、「どれが金将でどれが銀将か判別しにくい」という本末転倒な混乱を招くこともあり、そのシュールさが一部で語り草となっています。

もちろん、基本となる将棋部分も丁寧な作りです。思考レベルは7段階から調整可能で、初心者からアマチュア初段程度の実力者まで幅広く対応しています。「待った」機能やヒント機能も完備しており、定石を学ぶためのツールとしても十分機能します。一見すると色物に見えるファンタジー要素も、将棋という敷居の高いゲームへの入り口を広げようとした開発者の試行錯誤の結晶といえるでしょう。

『アイマックス将棋II』の題材となっているのは、日本で古くから親しまれているボードゲーム「将棋」です。8種類40枚の駒を使い、相手の王将を詰める知的な格闘技であり、近年では藤井聡太竜王・名人の活躍やAI研究の進化により、再び大きな注目を集めています。本作はそんな伝統文化にデジタルの遊び心を加えたユニークな一作です。

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