『こちら葛飾区亀有公園前派出所 ハイテクビル侵攻阻止作戦!の巻』は、1997年4月24日にプレイステーションで発売されたシミュレーションゲームです。原作は秋本治による国民的漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』であり、テレビアニメ版の設定をベースに、ギャグと戦略が融合した独自のゲーム体験が展開されます。プレイヤーは中川財閥が建設した超高層ビル「中川アイランドタワー」の警備責任者となり、侵入してくる両津勘吉らをトラップで撃退するという、前代未聞のタワーディフェンス型構成が特徴です。

ゲームの目的は、両津、ボルボ西郷、電極+、麻里愛の4人をすべて撃退すること。各キャラクターは異なる行動パターンとトラップ耐性を持ち、プレイヤーは監視カメラを切り替えながら、先回りしてトラップを設置していきます。両津は通路以外も抜ける予測不能な動きで翻弄し、トラップの連続成功によってキャラクターが「ハイパー化」すると、移動速度や特殊能力が強化されるなど、戦況が一変する緊張感も魅力です。ギャグと戦略が絶妙に絡み合い、原作の破天荒さをゲームシステムに巧みに落とし込んでいます。

物語性は控えめながら、イベントやキャラクターの反応にギャグ要素がふんだんに盛り込まれており、原作ファンにはたまらない演出が随所に散りばめられています。ミサイルや爆弾を食らっても死なない両津のタフさ、ボルボのミリタリー趣味を反映した行動など、原作の個性がそのままゲームに息づいています。プレイヤーは、ただの警備ではなく、両津を“痛めつける”ことに快感を覚える構造となっており、ギャグ漫画のゲーム化として高い完成度を誇ります。

プレイステーション版では、ポリゴンによるキャラクター表現とリアルタイム監視・操作の緊張感が融合し、当時としては斬新なゲーム体験を実現しています。操作はやや忙しく、トラップ設置のタイミングや監視カメラの切り替えに慣れるまで時間がかかるものの、慣れれば戦略性とギャグの融合がクセになる作品です。後にPC向けタイピングゲームとしても再販され、こち亀ゲームの中でも異彩を放つ存在として語り継がれています。

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