『マッドストーカー フルメタルフォース』は、鋼鉄の巨躯がぶつかり合う重厚感と、対戦格闘ゲームの文法を取り入れた緻密な駆け引きが魅力の2Dロボットアクション。1997年7月3日にファミリーソフトからPlayStationで発売され、X68000でカルト的な人気を博した名作を、家庭用ゲーム機向けに大胆なアレンジと再調整を施して蘇らせたリメイク移植版として展開されました。

本作の舞台は2142年、軍事用コンピュータ「オメガ」が反乱を起こし、無人兵器による都市制圧を開始した世界。プレイヤーは有人型スレイブ・ギア「ハウンド・ドッグ」に搭乗し、オメガが擁する機械軍団を鎮圧すべく戦場へと降下します。最大の特徴は、一般的なアクションゲームのような「撃って避ける」スタイルではなく、敵の攻撃をガードや見切りで凌ぎ、コマンド入力による必殺技を叩き込む「格闘ゲーム」に近い操作体系にあります。PS版では家庭用コントローラーに合わせて操作性が最適化されており、ボタン一つでダッシュができたり、攻撃ボタン連打でバルカンが出たりと、直感的なプレイが可能になっています。

グラフィックはX68000版をベースにしつつも、PlayStationの性能に合わせてキャラクターのドット絵や背景の多くが描き直されており、より滑らかで重量感のあるアニメーションを実現しています。ゲームモードは、全6ステージを攻略する「ストーリーモード」に加え、個性豊かなライバル機たちと1対1で戦う「VSモード」を搭載。特に対人戦におけるバランス調整は入念に行われており、単なるオマケの域を超えた対戦ツールとしても楽しめる完成度を誇ります。

難易度はオリジナル版に比べてややマイルドに調整されており、コンティニュー制限もないため、アクションゲームが苦手な人でもエンディングまで到達しやすい親切設計となっています。FM音源の響きを活かした硬派なサウンドトラックや、無骨なメカデザインが醸し出すシリアスな雰囲気は健在で、90年代ロボットアニメの「燃え」を凝縮したような一作です。

『マッドストーカー』の世界観は、80~90年代のリアルロボットアニメ(『装甲騎兵ボトムズ』や『機動警察パトレイバー』など)の影響を色濃く受けています。無骨な量産機が単身で敵の大軍に立ち向かうシチュエーションは、男の子のロマンを刺激してやみません。

マッドストーカー フルメタルフォース (PS)