『甲子園V』は、全国4000校以上のデータから母校を選び、深紅の優勝旗を目指す高校野球シミュレーションゲーム。1997年5月16日に魔法株式会社からPlayStationで発売されました。
本作は、スーパーファミコンで人気を博した『甲子園』シリーズの第5作目にあたり、プラットフォームをPlayStationに移したことでグラフィックがフル3Dポリゴンへと進化しました。最大の魅力は、高校野球中継の「あの声」でおなじみの元ABC朝日放送アナウンサー・植草貞夫氏による実況が収録されている点です。「甲子園は清く正しく美しく」といった名調子や、サイレンの音と共に始まる試合展開は、テレビ中継さながらの臨場感を生み出しています。また、オープニングムービーには、発売当時の1997年選抜高等学校野球大会の入場行進曲であったPUFFYの『これが私の生きる道』が使用されており、当時の空気感を色濃く残しています。
ゲームモードの中心となる「大会モード」では、全国の高校(校名は一部変更されていますが、コマンド入力で実名化可能)から1校を選び、春のセンバツと夏の選手権の連覇を目指します。試合システムは、投手が「コースと球種」、打者が「狙い球」を指定してアクションを行う形式ですが、守備や走塁の一部をオートに任せることも可能です。さらに特筆すべきは、非常に細かい設定が可能な「フォームエディット機能」です。投球フォームや打撃フォームをコマ送りで調整し、関節の角度までいじってオリジナルのモーションを作成できるため、個性的な選手や実在のプロ野球選手を再現する楽しみもあります。
本作を開発した魔法株式会社(旧・ホームデータ)は、『将棋』シリーズや『甲子園』シリーズで知られる老舗メーカーです。特に高校野球へのこだわりは強く、膨大な学校データの搭載はシリーズの伝統となっています。本作の実況を務めた植草貞夫氏は、「甲子園の鉄人」と呼ばれた名アナウンサーであり、彼の実況を聞くと当時の熱戦を思い出すファンも少なくありません。高校野球の歴史や名勝負に興味を持たれた方には、歴代の大会を振り返る映像作品や書籍が、そのドラマをより深く知るための資料となります。













コメントを追加