『AZITO』は、1997年にPlayStation向けに発売された秘密基地運営型シミュレーションゲームであり、ASTEC21が開発しアスクが発売を担当したシリーズ第1作です。本作では、プレイヤーが地下基地の総司令官となり、施設の建設・人員の雇用・兵器の開発・商品販売などを通じて基地を運営し、敵勢力の侵攻に備えるという独自の構造が採用されています。ジャンルとしては経営シミュレーションに分類されますが、特撮的な演出と兵器育成要素が融合した設計が特徴です。

ゲームシステムは、地下に施設を自由に配置することで基地を構築し、動力室・研究室・工場・保安室などの機能ユニットを連携させて運営を行います。兵器は博士によって開発され、ヒーロー・怪人・メカなど多彩なユニットが登場します。開発した兵器は敵の侵攻に対して迎撃に使用され、戦闘結果によって施設の破壊や人員の損失が発生するため、防衛配置と施設設計の戦略性が求められる構造です。なお、プレイヤー側から敵基地への侵攻は不可能であり、防衛主体の設計となっています。

本作では、兵器の開発において得意分野別に分類された博士を雇用する必要があり、開発効率や兵器性能に影響を与える仕様が導入されています。また、商品開発と販売による資金調達も重要な要素であり、地上施設をカモフラージュとして活用することで、秘密基地の存在を隠しながら経済活動を行う設計が施されています。トレードモードでは、メモリーカードを用いたセーブデータ間の兵器売買が可能であり、ユーザー間の交流要素も備えています。

グラフィックはドット絵ベースで構成され、施設や兵器の視覚的変化が細かく描写されています。登場キャラクターはちびキャラとして表現され、施設内での移動や作業がアニメーションで再現されることで、基地運営の臨場感が強化されています。2003年にはハムスターより廉価版「Major Waveシリーズ」として再発売され、2007年からはゲームアーカイブスにて配信が開始されました。これにより、レトロゲームとしての再評価が進み、シリーズの原点としての位置づけが確立されています。