『童夢の野望 〜F1 GP NIPPONの挑戦〜』は、1996年にPlayStation向けに発売されたF1開発シミュレーションゲーム。日本のレーシングコンストラクター「童夢」が実際に開発していたF105マシンを題材に、F1参戦を目指すリアルな開発工程を体験できる異色のタイトルである。
プレイヤーは童夢の技術責任者として、風洞実験、モノコック設計、ギヤボックス開発、クラッシュテスト、スポンサー交渉など、F1マシン開発の全工程を管理する。ゲーム内で使用されるデータは、実際に童夢がF105開発時に用いたものと同一であり、予算配分や設計思想まで現実に即した構成となっている。ドライバーにはマルコ・アピチェラや中野信治らが登場し、鈴鹿サーキットでのテスト走行も再現されている。
本作はレースゲームではなく、開発シミュレーションに特化しており、ゲームオーバーの概念は存在しない。プレイヤーの選択によって複数のエンディングが用意されており、F1参戦の可否やマシン完成度によって物語が分岐する。加速・減速・旋回性能などの物理挙動も細かく設定されており、メカニック視点でF1の本質に迫る構成となっている。
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