『ビルクラッシュ』は、ビル解体業者同士の熾烈な生き残り競争を描いた対戦型パズルアクション。1996年10月25日に翔泳社からPlayStationで発売されました。
IT関連の技術書出版で知られる「翔泳社」がゲーム事業に参入していた時期の作品であり、その内容は良くも悪くも強烈な個性を放っています。プレイヤーはビル解体業社の社員となり、ライバルたちよりも早く、効率的にビルを爆破・解体することを目指します。ゲームの基本ルールは、PCゲーム『さめがめ』にアクション要素を加えたようなものです。画面上のビルには色とりどりの窓(ブロック)が並んでおり、同じ色が隣接している箇所に爆弾を投げ込むことで、それらをまとめて消去(爆破)できます。下層を爆破して上層を崩し、連鎖を狙うのが勝利の鍵となります。
しかし、本作を一筋縄ではいかないものにしているのが、**「窓の開閉」システム**と**「豪華すぎる声優陣」**です。ビルの窓はパカパカと不規則に開閉しており、開いている瞬間にしか爆弾を受け付けません。この仕様がパズルゲームとしてのテンポを独特なもの(あるいは理不尽なもの)にしており、プレイヤーはタイミングを見計らって爆弾を投げ続けるという、根気のいる作業を強いられます。一方で、登場キャラクターのボイスには、**丹下桜、石田彰、井上喜久子、千葉繁、平松晶子**といった、当時のアニメ界を代表する超豪華キャストを起用しています。彼らの演技は主に「掛け声」や短いセリフに留まっていますが、その贅沢な無駄遣いぶりこそが、本作をカルト的な記憶に残る作品へと押し上げています。
本作を発売した翔泳社は、現在ではプログラミングやIT資格などの技術書出版社として著名ですが、90年代後半にはPlayStation向けに独自のゲームソフトを数多く供給していました。そのラインナップは、本作のようなパズルからシミュレーションまで多岐にわたり、出版社のゲーム事業参入という当時の業界トレンドを象徴する存在でした。本作に見られる「一風変わったアイデア」と「妙に豪華なキャスティング」は、当時のマイナーゲーム特有の愛すべき熱量を伝えています。
映画『ダイ・ハード』(Blu-ray)
※「高層ビル」と「爆破」といえばこの映画。本作の地味な解体作業とは対照的な、ハリウッド級のド派手なビル・アクションを楽しめます。













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