『ピンボールファンタジーズDX』は、1996年にPlayStation向けに発売されたピンボールシミュレーションゲームであり、欧米で人気を博した『Pinball Fantasies』および『Pinball Mania』の移植版として構成されています。本作は、スウェーデンのDigital Illusionsが開発したAmiga版をベースに、イギリスのSpiderSoftが移植を担当し、日本ではバップよりリリースされた仕様です。前作『ピンボール ピンボール』の続編にあたる位置づけで、リアル志向の物理挙動とテーマ性のある台構成が特徴です。
収録台は計8種類で、初期状態では「Party Land」「Speed Devils」「Billion Dollar Gameshow」「Stones N Bones」の4台が選択可能です。残りの4台「Tarantula」「Jail Break」「Kick Off」「Trick or Treat」は、各台でハイスコアを達成することでアンロックされる設計となっており、攻略性と継続的なプレイ動機付けが施されています。各台は縦長構造で、画面スクロールによってボールの移動に追従する形式が採用されており、視認性と操作性に独特のクセがある構造です。
操作系はPlayStationのボタン配置に準拠しており、左右フリッパー、プランジャー、台揺らしなどが割り当てられています。台揺らしは過度に行うと「ティルト」が発生し、ボールを失う仕様です。最大8人までの交代プレイに対応しており、スコア競争を中心としたマルチプレイが可能です。また、各台には独自のギミックやボーナスゲームが組み込まれており、テーマに応じた演出と得点構造が設計されています。
本作は、演出よりも物理挙動とスコア競技性に重点を置いた構成であり、リアルなピンボール体験を志向する設計思想が反映されています。グラフィックはAmiga版の色数制限に準拠しており、PlayStationの性能を活かしきれていない面もありますが、台のルールが日本語で解説されている点は国内版ならではの利点です。全体として、ピンボールゲームの本質に迫る硬派な構造が採用された作品です。
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