『ボトムオフザナインス メジャーリーグヒーローズ』は、1996年にコナミよりプレイステーション向けに発売された野球ゲームです。本作は、MLB(メジャーリーグベースボール)を題材としたライセンス作品であり、実在する球団や選手が登場する構成となっています。北米では『Bottom of the 9th』のタイトルで展開されており、日本版はそのローカライズにあたる位置づけです。ゲームタイトルは「9回裏」を意味し、野球の緊迫した場面を象徴する名称として採用されています。

ゲームシステムは、投球・打撃・守備・走塁といった基本操作をリアルタイムで行う形式で構成されており、アーケードライクな操作性とシミュレーション的な要素が融合した設計です。選手ごとの能力値や球種、打撃傾向などが細かく設定されており、戦術的なプレイが可能となっています。また、試合中の実況や観客の反応など、演出面でも臨場感を高める工夫が施されています。

日本版では、英語表記がそのまま残されている箇所が多く、ローカライズは限定的な範囲に留まっています。選手名や球団名は実名で収録されており、MLBファンにとっては資料的価値の高い構成です。ただし、操作性や視認性に課題があり、特に守備時のカメラワークや打撃判定に関しては不満の声も見られます。グラフィックは当時の水準としては標準的であり、派手な演出よりも実直な再現性を重視した設計です。

本作は、1990年代中盤におけるMLBゲームの国内展開を象徴するタイトルであり、コナミがスポーツゲーム分野において多角的な展開を試みていた時期の作品です。後続作やシリーズ化は行われておらず、単発タイトルとして記録されています。日本国内では野球ゲームといえばNPB(日本プロ野球)を題材とする作品が主流であるため、本作のようなMLBライセンス作品は希少な存在と位置づけられます。